医療法人社団 めぐみ会

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ドクターズコラム

2008年6月 1日

メタボリック症候群について その7 「運動療法を始める前に」

メタボリック症候群の状態から脱するためには生活習慣の改善が欠かせず、その中心となるのは運動療法と食事療法です。 

ただし、正しい方法で行わないと改善効果は認められず、また体の状態をきちんと評価しないで運動を始めてしまうと、かえって潜在している病気を悪化させてしまう結果になりかねません。 

当健診センターでは隣接するフィットネスジム『オレオス』と連携して、メタボリック症候群や生活習慣病に対する運動療法を行っていますが、運動療法を始める前に必ずメディカルチェックを受けていただいています。メディカルチェックを行う目的は二つあります。 

第一に、内臓肥満やインスリン抵抗性、血圧、血糖値、コレステロール・中性脂肪値などを調べることで、メタボリック症候群などの進行度を把握することです。この結果に基づいて運動療法の目的・方向性を定めてから運動を開始し、およそ3ヶ月後を目安に運動療法の効果を判定するために、再度メディカルチェックを行います。各種データが改善しているかを確認しながらその後の運動療法を進めていきます。 

メディカルチェックの第二の目的として、運動を行う上での危険性の有無を確認することが挙げられます。例えば、既にメタボリック症候群の最終的な合併症である動脈硬化が進んでいて、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞が併発している、あるいはその危険性が高いと判断される場合には、先に動脈硬化に関する精密検査を行う必要があります。また、重症の高血圧症や糖尿病の場合にも外来での治療を優先する必要性があります。その他に蛋白尿が認められる場合や眼底出血が疑われるようなケースでも運動を行うことによって病状が悪化する可能性があります。 

一般的なフィットネスジムは基本的に「健康な方」を対象としているので、動脈硬化の予備軍であるメタボリック症候群や生活習慣病の方が同じやり方での運動を始めると、逆に状態を悪化させる可能性があります。また、それまで運動をあまりやっていなかったのに、自己流で運動を始めるのはケガなどの危険性も伴います。運動療法を始める前に、きちんと体の状態をチェックし、正しい方法と手順で運動療法を行うことが大切です。

循環器内科:黒田 雄三

担当クリニック:田村クリニック

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