医療法人社団 めぐみ会

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ドクターズコラム

2018年1月19日

更年期症候群と漢方

 女性の更年期には、女性ホルモン(エストロゲン)の減少、卵巣機能の低下などとともに、脳内でホルモン分泌や情動・自律神経機能を調整する視床下部の働きに変調が起こります。月経は不順となり50歳前後で閉経しますが、自律神経失調症状も起こりやすくなります。社会的ストレスの高い年齢層にもあたるため、心身両面の不調に苦しむ方が少なくありません。治療法は女性ホルモン補充療法などですが、漢方薬もしばしば用いられます。漢方薬は心身全体に穏やかに働きかけ、自然なバランスを回復させる働きを持っていますので、更年期症候群にはとても有益です。

最もよく使用されるのは加味逍遥散(かみしょうようさん)です。体格栄養状態が中等度からやや虚弱な女性で、ホットフラッシュ(突然カーッと熱くのぼせる感覚)とそれにともなう発汗、動悸などがあり、あるいは、軽い抑うつ状態(気分が落ち込む・疲れ易くなる・無気力でやる気がしない)、イライラ感、よく眠れないなどの症状があるときに用います。

ただし、漢方では、同じ更年期症候群といっても体質体格や症状などの個人差によって様々な薬を使い分けます。たとえば、気分の変化は軽く、のぼせも少ないが、足腰の冷えが強く、むくみやすい方には加味逍遥散よりも当帰芍薬散がよいことがあります。漢方薬が体質にあわないと不快な症状が出ることもあります。

また、漢方薬よりも、女性ホルモン補充療法や精神安定剤・抗うつ剤などを用いた方がよい方もあります。漢方薬で改善しなければ、婦人科医や心療内科医に相談することもおすすめします。

東西両医学を生かし、女性として実りある日々を過ごしていただきたいと思います。

漢方内科:稲木一元

担当クリニック:田村クリニック2(旧:多摩ガーデンクリニック)

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