訪問診療医

在宅訪問診療医 インタビュー

柳町医師   南大沢メディカルプラザ


葉一人ひとりの人生の哲学、生き方を教えて戴く面白さ


訪問診療風景

 私が、訪問診療を始めたのは2018年4月。めぐみ会に入職と同時に始めました。 それまでは、地域医療に根ざした病院にて消化器外科医・総合診療医として外来の診療を担当していました。

 訪問診療を開始した当初は、「ちょっとやってみようかな?」という簡単な気持ちでした。 はじめてみて、一言でいえば「面白い!」というのが感想です。一番面白いと感じている点は、患者様にいろいろな人生の哲学、生き方を教えて貰っている点でしょうか? 私は他の先生たちより一人当たりの訪問時間が長いです。その中で診察以外に何気ない会話、生い立ちなどの雑談をしていろいろ教えて頂いています。医学という科学ではなく、文学的な面に面白さを感じています。



葉良い医療とは、必ずしも正しい医療をすることではない


 診察面についての面白みは、まず訪問での診察はレントゲンも心電図もなく、聴診器と触診のみで診察し、ある程度診断をつける点です。いわゆる昭和初期の医者と変わりない点に面白みというより困難さを感じています。

 それと最近感じているのは、訪問診療の良い医療とは必ずしも正しい医療をすることではないと思い始めました。例えば、ガンを治療することが正しい医療としても患者様が望まなければしないという事も受け入れて診療を続けていくことが良い医療なのだと思い始めました。いわゆる患者様本人の価値観に合わせた医療、患者様の満足度を高める医療を行うことが良い医療なのかもしれません。

 ただこの場合、患者様の価値感に合わせた結果、患者様が不利益を被ることがあり得ます。先の例に合わせればガンを治療しない選択をするのは同時に死ぬことを受け入れること。その覚悟を患者様に強いることになります。

訪問診療風景

 もう一つの例として、現代は禁煙することが正しいこととして多くの人にそれを求めています。しかし肺癌になってもよい覚悟がある人ならタバコを吸うことを認める医療です。 患者様の価値観に合わせた医療は、オーダーメイドの医療かもしれませんが、それはとりもなおさず患者様に自分の価値感に合わせた責任、覚悟も強いる医療かもしれません。

 ただこの意見はまだ考え始めたばかりで熟成していません。従ってこれからどのような方向に行くのか?自分でも楽しみです。


葉一人ひとりにあった、患者様の価値観に合わせた医療を


 今後の抱負としては、患者様の価値観に合わせた医療というのを追及してみたいと思っています。現在はコロナ禍 でテレワーク全盛の時代となりました。そのような時代、訪問診療は古いと思っている方も多いと思います。しかし診察のみではなく、人と人との関わりは面と向かって話すことが基本だと思っています。ですから訪問診療はこれからますます必要とされる場面が多くなると考えています。そんな中で一人ひとりにあった医療を探して、患者様が満足できる医療が出来ればよいと思っております。