医療法人社団 めぐみ会

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ドクターズコラム

2008年3月 1日

食道炎で咳?

この季節、なかなか咳が治らずに困っている方が多いと思います。私の外来診察室にも、多くの患者様が咳の症状を訴えられて受診されます。多くはかぜ症状の遷延で、気管、気管支の炎症に伴う気道過敏が原因であることがほとんどです。しかしながら、稀にそうでない患者様がいらっしゃいます。かぜの咳は1~2週間で改善されるのが普通です。慢性咳嗽の定義は、少なくとも3~8週間持続する咳ですから、3週間以上持続すれば慢性咳嗽ということになります。かぜで8週間の咳など稀なことです。皆さんの中にも、なかなか咳が治らずに、慢性気管支炎などと診断され、鎮咳薬、殊に中枢性鎮咳薬を漫然と処方されている方がいらっしゃるのではないでしょうか?効果のない薬を続けて飲むことほど、体と懐に悪いことはありません。 

咳が続くと、皆さんがよく頭に思い浮べるのが、肺癌と結核です。残念ながら両疾患とも、さほど頻度の高い疾患ではありません。日本での慢性咳嗽の三大疾患は副鼻腔気管支症候群、アトピー咳嗽、咳喘息です。ところで欧米ではどうでしょう? 欧米では後鼻漏症候群、気管支喘息、逆流性食道炎ということになっているのです。後鼻漏症候群は、副鼻腔気管支症候群+アトピー咳嗽と考えていただいて結構です。 

逆流性食道炎? おかしいですね。「消化器の病気ではないの?」とお思いになる方も多いでしょう。そう、もちろん消化器の病気です。その消化器の病気である「逆流性食道炎」が欧米では慢性咳嗽の三大疾患の一つなのです。これは人種差なのか?いや、そうではありません。日本人の逆流性食道炎の患者様だけ咳嗽の合併が少ないわけではありません。咳の症状よりも、胸焼けなど、消化器症状の強い患者様が多く、統計に入ってこないのではないかと考えられています。 

逆流性食道炎による慢性咳嗽の診断基準は、治療前診断基準で、

(1)慢性咳嗽
(2)胸焼け、呑酸などの胃食道逆流を疑う上部消化器症状
(3)上部消化管内視鏡検査で、食道裂孔ヘルニアまたは逆流性食道炎の所見がある、あるいは、食道透視で、バリウムが中部食道以上に逆転する

です。治療後診断基準では、胃食道逆流に対する治療(PPI、H2-Blocker、シサプリドなど)にて咳嗽が軽快すること、咳嗽軽快までには、比較的時間(2週間以上)を要することがあるので、慎重に様子を診ていくこと、となっています。しかしながら消化器症状がなくとも、胃液の胃・食道逆流があり、咳嗽感受性が亢進して咳が出ている可能性も十分に考えられます。そのような方々にも、逆流性食道炎の治療薬である、プロトンポンプ阻害剤(PPI)が奏功するかもしれません。一つの治療で、胸焼けと咳の二つの悩みが解決する、素晴らしいことではないですか? 

なかなかよくならない慢性の咳でお悩みの方、逆流性食道炎かもしれません。まずは、ご相談ください。

消化器内科:三浦 崇幣

担当クリニック:田村クリニック

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